舌下免疫療法
舌下免疫療法(SCIT: Subcutaneous Immunotherapy)とは
日本人の46%と半分近くの方が、アレルギー性鼻炎(花粉症)に罹患しています。
また近年では年齢2~3歳から症状が現れる子も多く、今後も罹患率は増えていくことが予想されます。
そんな中、初のアレルギー性鼻炎の根治を目指す治療として「舌下免疫療法」が出現しました。
治療法は「1日1回 舌の下に薬を入れ、しばらくしたら飲み込む」といった簡単な治療になります。「弱いアレルギー物質を口から取り込むことで体を徐々に慣らす」という機序により、安全性も確保されており、5歳以上の小さなお子様から治療を開始できます。
舌下免疫療法は「スギ」「ダニ」の2種類が可能です。
*日本では注射による免疫療法「SCIT: Subcutaneous Immunotherapy(スギ・ダニ・ハウスダスト)」もございますが、そちらはアナフィラキシーショックを生じる可能性が高い為、大学病院等での治療になります。しかし舌下免疫療法と差異はほとんどないといわれています。
治療期間
最初の2週間はしっかり確認して、その後は1か月に1度来院していただく形になります。
完治を望む方は、2~3年間以上は継続されることが推奨されています。(最長5年)
メリット
- 根治が望める
- 根治しなくても、多くの方は症状が軽減される
アレルギー性鼻炎は、副鼻腔炎を引き起こしやすくなり、喘息のコントロールも悪くなります。
また併存症として睡眠不足・集中力低下を引き起こし、学習能力低下も引き起こすリスクがあります。
その為、お子様から治療を始めると多くのメリットが生じるともいわれています。
引用: 大久保公裕,他:インターネットを用いた アレルギー性鼻炎患者に対するアンケート調査2011.
デメリット
- 毎日薬を内服する必要がある
- 6週間までは、かゆみなどの副作用が生じる可能性がある
*基本的にかゆみを抑える薬を数週間は一緒に内服していただきます。 - アナフィラキシーを引き起こす可能性が、ごく僅かだがある
*日本では数名報告がありますが、亡くなられた方はいません。
【注意】
❌ 舌下免疫療法を受けられない方(禁忌)
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重度の喘息がある方(コントロール不良)
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過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方
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妊娠中の方(新規開始は不可、継続中は相談の上)*授乳は問題ないと思われますが、日本での臨床研究がないので避けるのがよいといわれています。
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口腔内や喉に重い炎症・感染がある方(例:口内炎、扁桃炎、歯周病の急性期、歯科での治療後1週間)
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β遮断薬(βブロッカー)を服用中の方
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免疫系の病気(重症免疫疾患など)のある方
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重篤な心疾患のある方
⚠️ 慎重に判断・医師と相談が必要な方
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コントロールされている軽〜中等度の喘息の方
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高齢者、小児(5歳未満などは推奨外)
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妊娠希望中・授乳中の方 *厳密には授乳中の方の規制はありませんが、臨床研究・論文がない為推奨はされていません。
希望の方へ
手順1.アレルギー検査を行い、アレルギーの有無を確認します。
アレルギー検査は事前に舌下免疫のご予約をお勧めしております。*直接来院の方は、混雑時は難しいことがございます。
手順2.初回投与日を予約して頂きます。
初回投与は病院で行う必要がございます。
説明・同意書 → 処方 → 薬局で薬をもらう → 当院で内服
というように1時間~1時間30分ほどかかりますので、
午前9時~10時30分、午後4時~5時30分までには来院してください。
もしくは自宅で内服しないことを約束して処方→次回病院で内服する方法もございます。
手順3.初回投与は病院で行います。
アレルギー反応がひどい方は30分以内に生じますので、30分は病院で待機していただきます。
*注意:内服開始より2時間は入浴を避けてください。
30分後、症状を確認して終了します。
*6週間は咽頭・口腔違和感・舌のしびれが出やすいので、抗ヒスタミン薬を同時併用して頂きます。
手順4.次回は1週間後に来院していただきます。
再診時問題なければ、用量を増やし経過を見ていきます。
≪≪注意≫≫
・病院での内服が問題なければ、自宅内服で重大な副作用が生じることは非常に少ないとされています。
しかし「息が苦しい」「腹痛・下痢などの消化器症状がひどい」などの症状が強い場合は病院に継続の可否を確認してください。
・ダニはいつでも開始可能ですが、
スギは日本中在庫不足のため、予約されている上位の方から開始しております。
*2025年7~10月に作られ始めるとのことで、現在一部薬局には出てきております。
また、スギは花粉が飛んでいない6月~12月一杯までが開始可能の時期ですので、お早目のご予約をお勧めしております。
