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甲状腺腫瘍

甲状腺の腫瘍が見つかる確率はとても高く、超音波検査をした50代では約40%に甲状腺腫瘍が見つかったという報告が数多くなります。
その内大部分を良性腫瘍(甲状腺結節)が占めますが、当然中には癌が混ざっています。
この癌を的確に見つけ出すことが重要です。

甲状腺腫瘍の種類

良性腫瘍 濾胞腺腫
腺腫様甲状腺腫
嚢胞
悪性腫瘍 甲状腺乳頭癌
濾胞癌
低分化癌
未分化癌
髄様癌
悪性リンパ腫

*厳密にいえば、腫瘍のような良性病変です。

腺腫様甲状腺腫/腺腫様結節

最もポピュラーな良性腫瘍です。
厳密にいえば、「甲状腺の細胞が活性化して腫瘍の様に見える領域」です。
この疾患は甲状腺腫瘍の超音波検査になれている医師であれば、鑑別は比較的しやすい腫瘍と言えます。

基本的に治療はせず、腫大しないかどうか定期的に観察していくことになります。
しかし急激に増大する場合や、サイログロブリンという腫瘍マーカーみたいなものが採血で急激に上昇する場合は手術適応となります。
というのも、甲状腺癌の中には超音波だけでは細胞検査だけでははっきりと悪性とわからないものも存在するので、少しでも異常を感じたら切除して調べることが重要です。
また見た目は腺腫様甲状腺腫でもホルモンを異常分泌する「機能性甲状腺腫(プランマー病)」の可能性もあり、その場合も同様に手術で切除する必要があります。

検査は「超音波」と「採血」を行います。
この良性腫瘍を伴う場合はバセドウ病や橋本病もそれぞれ15~30%近く合併可能性があります。その為、甲状腺腫瘍が認められた場合は他の疾患が隠れていないか採血ですべてチェック致します。

濾胞性腫瘍

濾胞性腫瘍は甲状腺の濾胞上皮由来の腫瘍です。
特徴としては「超音波や細胞検査での良悪性区別がつきにくい」といった特徴があります。
ほとんどの癌は、見た目や細胞や組織を採取すれば良悪性がわかりますが、この腫瘍は特殊で「取ってみないとわかりません」。
顕微鏡で「細胞の被膜浸潤」「脈管浸潤」「甲状腺外の転移」を確認することで初めて癌と診断できるのです。
その為、超音波に熟知した医師が採血と臨床症状と比較して手術をすべきかどうか決定致します。

甲状腺乳頭癌

最もポピュラーな甲状腺癌で、甲状腺癌の内90%を占めます。
また癌なのにめったにこの癌が原因で亡くなることはないという珍しい特性があり、

  • StageⅠの癌は、1㎝未満であれば手術せずに経過観察する
  • そもそも55歳未満の甲状腺乳頭癌罹患者は、転移がない限りは全員StageⅠ
  • StageⅠは、5年以上生きる確率が95%以上

という、本当に癌なのか疑わしい性質を持っています。
しかしやはり癌は癌なので、時折すごい速さで増大したり転移を繰り返すものも多く、早期発見・早期治療が望ましいと言えます。
検査はやはり「超音波検査」です。
超音波で乳頭癌に特徴的な所見を確認し、細胞を採取し悪性であれば手術をします。

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